青森県弘前市在住のこぎん刺し芸人・砧川キヌ子のブログ

人間椅子2025年冬のワンマンツアー『まほろば』ツアー 弘前・青森 感想文

感想文、と書いてしまうと一気に小学生感が出てしまいますがそのままにいたします

すでにポッドキャストの方で喋っている話になるのですが、改めて文章でも書いていこうと思います、ライブのレポートと言うよりはより「感想」や「考えたこと」の方を書くことになりそうです、ライブが具体的にどうだったかはポッドキャストの方がより詳しくお伝えしております

では書いてまいります


人間椅子のライブを観に行くのはなんだかずいぶん久しぶりな感じがしており、またアルバム発売からあまり日が無い状態でツアーが開催されたため、結局新アルバム「まほろば」は全く聴かない状態で楽しむ、という選択をしたのですが、もう一つの理由としては「あんまり熱心に聴く気分にならなかった」というのが正直なところです、最近はめっきり音楽自体を聴かなくなってきており、前に音楽を聴いていた時間はほとんどYouTubeにとって変わられていた感じでした

前より楽しいコンテンツがネット上に増えた、というのもあるように思いますが、それでも人間椅子のライブに行くのは「義務だからな」みたいな感じになっているので「行かない」という選択肢はハナから無いのでありました、なんだか薄情になっちゃったのかしら、と思っていたら、今回一緒に青森のライブを見に行った友人もおんなじことを言っていたので意外とそういう人が他にもいるのかもなあ、みたいな感じです

ただ、この「義務だからな」とツアーのたびに思わせるのが人間椅子のすごいところで、そしてそのたびに「ライブ行って良かった!!!」と思わせてくれるのもまた人間椅子のすさまじいところです、それを今回も確信、というかより強くそう思わされることになったのが本ツアーでありました


少し前の年までは、「命売ります」のようにドラマの主題歌に使われたり、海外のツアーが行われたりと、普段からファンじゃない方の目に触れる機会がいくつかありました

ただ近年はそういった類の活動が比較的少なくなったこともあってか、ライブに実際に行った感覚としては、弘前は前から来ているファンの方が多いような感じがあり、青森の方もソールドアウトしたとはいえ一時期のような「初見の若い人がいっぱい来てる」みたいな感じは少し落ち着いてました(それでも青森の方は比較的若い方も来てらしたように見えました)

しかしこれは「人気が減った」わけではない、という感じも同時にするのでした、ツアーの最序盤で、しかもアルバム発売から日数としてはかなり僅かだったにもかかわらず、曲をしっかり聴いて臨んでいる方が多い感じがあったからです、観客席からの熱は「焚き火が激しく燃えている状態」から「炭として成熟し高温で燃えている」というふうに変わった、そんな空気を感じました


そしてやはり、人間椅子の演奏の雰囲気もまたやはり前とは違う感じがあったのでした、ポッドキャストの方でも少し喋っているのですが、演奏に伸びやかさ、自由さが加わった感じがありました、肩の力がいい意味で抜けていてのびのびしている感じです

これは今こうやって振り返って考えると、おそらく「観客への信頼」が前と変わったんだろうな、と思うところがあります、演奏する側が「楽しんで演奏してれば楽しんでくれる」「お客さんが自分たちの演奏で楽しんでくれることが自分たちとしてもすごく楽しい」という、たぶん、超古参のファンの方なら「こんな時代がくるなんて…」と落涙するような心境に達しているのが今の人間椅子のような気がします


人間椅子は長いこと「不遇のバンド」だと思われてきており、それが「オズフェストでバズって反転した」という時期を経て、現在はそれがちょっと落ち着いてきた、と、そういう立ち位置になっているかのように、外からは見える節があります、実際そういう部分はあると思います

しかし、人間椅子が普通のバンドじゃなかったところは、「中身の変わらなさの鉄壁加減」だったんですね、本当に、一切、なにひとつと言っていいぐらい、コンセプトもスタンスもやってることも全くと言っていいほど変わらなかった、それが凄みのひとつとなり、強烈な魅力として昇華しているわけです

おそらくご本人たちからすれば「楽しいことをやってたらだんだんやりやすくなってきて今すっごい楽しい」ぐらいにしかそれを感じてないはずで、その愚直と裏表レベルの朴訥さで「ぼくのかんがえたさいきょうのバンド」をやり続けた結果がこのAI時代にぶっ刺さったわけです

人としての根源的な力や魅力が強烈な地盤、武器として重要になってくるこの時代に刺さりつつあるわけです


技術の進化やメディアの台頭などにより、「どうやったらうまいことやれるか」「どうやったら効率がよく成果を出せるか」ということがバンド文化にすら影響を与えてしまっている世の中に、まったくそんなこと考えなかった人たちが凄まじいバンドサウンドを奏でてぶっ飛ばしている、しかもまだなんか進化してる、という、それは、いうなれば人間の奇跡の具現化であり、ある意味においての希望にすらなってしまっている、という、なんか、そんなこともあったりするんですね世の中ってねー、と、ライブの帰り道に涙ぐみながら思っちゃう、それが人間椅子というバンドとなっております現時点で

そう、現時点で

この先どうなっちゃうんでしょうこのバンドは、ますますライブに行くというのが重要な義務と化してゆきます

次のライブも楽しみなので絶対それまで生き延びるぞ、と、そういうスタンスも一興ですが、それならば自分の方もより自分となってのびのび生きて、ますます輝けるライブの観客席側1ピースとして堂々と育ってやろうじゃないの、と、今はそんなことを思います、次のライブも楽しみですね


というわけで文章にしてみたらなんだかポッドキャストとは全然違う内容になりましたとさ、だから文章を書くのはやめられないんですよねえ

最近、インプットも大事だけどアウトプットも大事なんだな、と思うことがありましたので、来年からはより文章でのアウトプットも増やそうかと思います、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます