こぎん芸人行状記

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人間椅子2022秋のワンマンツアー 〜闇に蠢く〜 @青森Quarter 覚書

いやーー今回最前列だったんですよーー人間椅子のライブでは初めての体験でした!言わずもがな最高でございました!!

てなわけでメモ書きです、後半あたりでは特にネタバレしまくって参りますので、これから他の地域のライブを観る方は観たあとにご覧になったほうがよいかもしれません、あしからずご了承くださいませ

なお今回もセトリの確認はピー吉さんのnoteを参考に書かせていただきました、いつもありがとうございます!
https://note.com/pikichi_brasil/n/na4cb7f91ed87


今回もいつものメンバー、私と友人2人とで行ってきました

人間椅子のファンクラブ会員が購入できるチケット枚数は1公演あたり4枚でして、普段は3人分のチケットは私が買ってたんですが、今回はBar Asylumで知り合った大学生のお嬢さん二人組の分のチケットを私が手配することになったので友人の一人には個別にチケットを抑えてもらってました

…が、ライブの数日前に大学の研究室でコロナがまん延したとのことで残念ながらお嬢さん方が不参加になっちゃいました、せっかくお若い初参加の方々をご案内できると思っておりましたのに、もーほんともー、コロナゆるすまじでございますですわほんとに

そんなわけで急遽SNSでつながっている知人の方2名へ譲渡を行ったのでした、そのうち1名様はニューヨーク出身弘前在住の海外の方でこれまた初参加、めちゃくちゃ楽しんでいただけたようで何よりです

<ライブ後みんなで撮った記念写真>
Twitterでフォローさせていただいているヒロッスィさん(左端の方)もご一緒に撮らせていただきました、この日がお誕生日とのことで大変おめでとうございます!


それにしても今回ほど「事前にセトリの予想がつかないライブ」というのも珍しかったかもわかりません、なんせ手がかりはツアータイトルの「闇にうごめく」くらいしかないわけです、どんなに考えてもどんなライブになるのかさっぱりわかりませんでした

しかし、蓋を開けてみればたしかに「闇にうごめく」というテーマのライブでした、そんなライブならさぞかし陰鬱な感じだったろうと思われるかもしれませんが、これがほんとに「まったく暗くも陰気でもない」ライブなんです、楽しいしかっこいいしアットホームだし緊張感もある、と、こうして文章にしてみるとなんだか妙な感じになりますが、しかし実際そうだったのです

ただ、「レア曲満載のライブになるだろう」という事前の予想は大当たりでした、このレア曲の組まれ方も見事でしたねえ、今回のツアーについては事前にセトリ見ないほうが楽しめそうです、「この曲やるんだー!!」という感覚も楽しんでいただければと思います

それではここから思い出せることを思い出せるだけ書いてゆきます

最初の曲「鉄格子黙示録」は以前赤坂かなんかで聴いた気がしますが「侵略者」はライブ初聴きでした、これを事前情報なしに当てられる人はいないんじゃないでしょうか、両方とも「アウトロがめっちゃくちゃになって終わる感じ」が一致していてちょっと面白かったです

最初のMCは初っ端から「そろそろみなさん苦楽の曲も聞き飽きたと思います」

そして「今日は難しい曲、ながーい曲、ノリにくい曲を沢山やります」とのこと、「この後の曲が早速難しい」と演奏されたのが「表徴の帝国」、これも事前に当てられる人はいなかったでしょう、難曲であるため演奏に緊張感がありましたが、ここで言う緊張感は「難しいからミスしないようにしなきゃ」とかいう感じのものではなくて、「この曲を完成させるには一定以上の集中力がいるんだよね」みたいな、高いレベルの緊張感であるように思われました

こういう緊張感の持ち方というのは相当な技量の持ち主同士でないとできないだろうし、だのにその一方で「軽音楽部の超上手いメンバー同士がすごい楽しそうに弾いてる」みたいな、無邪気というか、純粋に楽しんでる感で演奏してゆく、という雰囲気がある、これが人間椅子というバンドなんだろうなあ、と改めて思いました

それにしてもこの「表徴の帝国」という曲は見るからにめちゃくちゃ難しそうな曲なんですが、指板見ないで前向いて歌いながら弾いてたりするんですよ、指もめちゃくちゃ動いてるんですがこれどうなってんのかなほんとになあ、って思いますよねほんとにね

そんでお次が「黄金の夜明け」、これも結構前に名古屋ELLで聴いて以来です、あのときも「美しい曲だなあ」と思いましたが今日もやっぱり美しい曲でした

人間椅子のライブで演奏される曲は結構いろいろな種類があって、演奏時間が長めの曲などは特に情景が目の前に浮かんでくるような、まるで芝居の演技をみているような曲もあったりするんですね

そういう演奏を目の前に眺めていると、たまに、「極楽浄土に音があるならきっとこういう感じだろう」という感覚になる曲があるんです、それが今日はこの「黄金の夜明け」でした

ああ今日の演奏も心底美しいなあ、とぼろぼろ泣きながら聴いておりましたが演奏後に隣の友人に「感動したわー」と喋ったら彼女も感動してたようでした、他のお客様でも同様の方はたくさんいらっしゃったのかもしれません、あれはぜひ多くのみなさまにライブで体感していただきたいです

お次が「胡蝶蘭」、ワジーの真骨頂、みたいな曲ですよねえ、ワジーさんがソロアルバム出したらこれ系のナンバーを数パターン書いて収録してそうです、そのうちの一曲は最初から二曲目あたりに堂々と使われたりするんだろうなあ、とか考えます、最後の方にイントロのフレーズが戻ってくるあの感じがね、人間椅子倶楽部の集いのワジーのコーナーを彷彿とさせますね、そらそうと今日向かう車の中で友人と「青森だけファンクラブでソールドアウトするんだからこれはもう青森版人間椅子倶楽部の集いなんじゃないだろうか」と話してたんですがほんとあながち間違いじゃないんじゃないかと思います

ここでまたMC、ツアー中のため禁酒をしている和嶋さん、一方で研ちゃんさんはお酒を全く飲めないので「ノンアルコール飲料の0.001%のアルコールで酔う」とのこと、この後のMCでおっしゃられてましたが「酒屋にいるだけでも酔うしなんなら海の波を見てても酔う」とのことでした

和嶋「研ちゃんは体が大きい割には、繊細なんだよねえ」
鈴木「和嶋は繊細そうに見えて、雑」

そして和嶋さんはツアーが終わったらお酒を飲むのが楽しみだそうで、「青森の日本酒だと田酒ですよね、あと豊盃」とおっしゃられてましたが、青森の地酒で最初に上げるのが田酒でその次が豊盃、となると、あんまし熱心には青森のお酒を追っかけてはなさそうだな、となんとなく思うのでした(六根とか華一風とかもおいしいですのでぜひお試しください)

そんで豊盃の名前が出てきたときにちょっとだけ鈴木さんのホーハイ節が聴けてよかったなもと思いました

ちなみに「ホーハイ節」とはつがる市森田町あたりで歌われていた民謡で、「ホーハイ」の「ホー」の部分では息を吸いながら発声し「ハイ」で吐きながら発生するという、日本でも珍しいヨーデル唱法の歌であります

ホーハイ節を聴きたい方はこちら

MCでお酒の話が出たのできっとそうだろう、と思ったところで「莫迦酔狂ひ」、相変わらずかっこいい曲です、この、酔っ払ったときのフラフラ感、たまに来る妙な疾走感、二日酔いを彷彿とさせる重たさ、よくこれだけギターの演奏で描ききれるものだなあと思います、そりゃもうノリノリで演奏するワジーさんも印象的でしたが、ここぞとばかりに重たいベースをオーディエンスに向かって恍惚として演奏する鈴木さんもそうとうかっこよかったです

この曲の演奏後に鈴木さんは「お酒が飲めないから酔っ払ったふりしながら弾くのが大変」とおっしゃってましたが、鈴木さんは「酔った人のイメージを演じようとするとなにやら妖艶になる」のかもしれません、鈴木さんの中でお酒で酔っ払う感覚というのはああいうイメージなんですねえ

で、結構軽めの話をした流れからいきなり「ED75」の演奏が開始、この曲そんな軽い流れてぱぱっと演奏する曲じゃないでしょう、というぐらい待望度大のレア曲です、幻となった弘前Mag-Net最後のライブで演奏されるはずだった曲でこれを聴きたかった弘前市民の人間椅子ファンはそれはそれは嬉しかったことでしょう、嬉しかったことでしょうが今日はずいぶんとぱぱっと曲に入っちゃったので、ワジーさんが「ブルースのフレーズを弾くぞ」というモードに入るのが遅れて最初のフレーズがちょっと明るめになる、という現象が見られました

で、不思議なのが、この「ED75」もさっきの「黄金の夜明け」と同様に情景が目の前に浮かぶ系の曲でありそうなのに、ワジーさんはこの曲だと情景とか心象風景とかの表現の方ではなくて、飽くまでブルースのフレーズとしていい感じのを弾こう、という感じの演奏に聴こえるんですね、「黄金の夜明け」とか「莫迦酔狂ひ」ではあんなに情景を表現なさっているのに、「ED75」だとなにかのお手本を探っているような感覚があります

この曲、鈴木さんが最初から一貫して書いている通り、「ひたすら雪が降りつもる平原を粛々と走るED75号」の暗さや寒さやを克明に表現する方へ集中すれば、相当いい感じのブルースが弾けるのではなかろうか、と思うんですが、弾くのは和嶋さんなのでそれこそ聴く側は粛々と聴くのみであります、どのみちかっこいい曲でありますほんとに

そんでこの曲は途中にねぷた囃子に似たフレーズが使われている部分があります、私はねぷた囃子より先にこちらの「ED75」を覚えてしまったので、本物のねぷた囃子聴くたびに「ED75だわー」と思う時期がしばらくありました(今はそんなにないです)

ここのMCで鈴木さんのねぷた談義、ED75のねぷた囃子に似たメロディーの部分はやはりねぷた囃子の引用ということで、今年のねぷたは尊敬するねぷた絵師の三浦呑龍さんが祭見物中に向こうから挨拶してくださったとのこと、「今年は下新町のねぷたが鈴木さんの趣味に合いそう」と教えていただいたそうでそれはそれは嬉しそうに話してらっしゃいました、「いつもインタビューで『一番影響を受けた人物は誰ですか』と聞かれるときにジーン・シモンズですかねー、と、相手先がほしそうな回答をするけども、本当は三浦呑龍さんだ」とのことでした、もう天皇陛下に匹敵するレベルとのことです

ちなみに和嶋さんは最も影響を受けたのは稲川淳二さんであるそうです

なお今年の下新町の見送り絵はこんな感じでした、そりゃ好みドンピシャであるでしょうなあと納得の出来栄えです、まさに怪談 そして死とエロス

続いての演奏が「ダンウィッチの怪」と「黒い太陽」、ダンウィッチの怪はMCで曲名聞いて「うわー!」となりましたが、「黒い太陽」の方はイントロ聴いて「うわー!これやるのかー!!」となったあとに「これなんて曲名だったっけ…!」となってました、「太陽の没落じゃなくて…!えっと…!」ってなるやつでした、なんだかんだで太陽のつく曲名も何個かありますもんねえ

MCにて「そろそろ新しい曲聴きたいでしょう」とのことで「無常のスキャット」、この曲もすっかり人間椅子の代表曲の一つです、あの首を存分に振れる感じがたまりません

ライブもこのあたりになると、地元特有の一体感と相まってだいぶリラックスした演奏になっていて、例えば東京の大きなライブ会場で演奏するときに比べると「文化祭でのびのび演奏してる」みたいな雰囲気になっていました、たまに後ろを振り返ると会場のみなさまのほんとうに楽しそうなこと、ワタクシももちろん楽しいですが、ああ、早く自由に声が出せるようになってほしいもんだよなあと思いました、あとマスクが苦しいので早く外して観覧できるようになってほしいですほんとに

ここでお待ちかねアニキさんの歌唱コーナー、「無常のスキャットまで来てホッとした」とのこと、それだけ今回のツアーの曲は難曲が多かったようです、今回のツアーに備えて通常練習の他に個人練習もされたとのこと、もちろん青森ライブではおなじみの津軽弁コールも健在です

そして演奏する曲は久々に演奏するものだとのことで、「なんだろう、宇宙船弥勒号かしら…!」とか思ってたら「蜘蛛の糸」でした、確かにだいぶひさしぶりでしたね、前いつ聞きましたっけ…

そしてこれまた聴きたかった「ねぷたのもんどりこ」、盛り上がりも最高潮です、ED75でねぷたの曲やっちゃったから聴けないんじゃないかと思ってましたが大盤振る舞いでしたねえ…!

で、針の山がくるかなと思ったらなんと「幽霊列車」、今回は選曲が本当に嬉しいライブでした、「確かにこれ聴きたかったわ!」となってたお客さんもたくさんいらっしゃったんじゃないでしょうか、この曲は後半の畳み掛けがライブで聴くとほんとに最高なんですね

で、本編最後の針の山、ワジーさんが前奏に入る前にギターでアレンジを弾いている横で、研ちゃんさんが「ここで一発、はーりのやまーー」と、いつものコールでオーディエンスを煽るタイミングをはかってたんですが、ワジーさんがそれに全く気づかなくてそのまま演奏を始めてしまい、鈴木さんが「まったくもうこいつはよう」という顔をする、という流れからの開始でした

もう会場全員で飛び跳ねておりました、マスクが苦しくて仕方がありませんがだからといって飛ばないという選択肢はありません、やー、やっぱりライブっていいですねえ、元気になりますよ、いろんな要素が元気になりますねほんとにねえ、全員すっかり汗だくになったところでライブ本編が終了です

最初のアンコール、和嶋さんとノブさんがツアーTシャツに着替えて再登場、ノブさんは呑龍さんTシャツの復刻版(異世界からの咆哮ツアーのデザインでツアー情報が無いTシャツ)を着てらして、帰りに買おうと思ったら速攻で売り切れてました、SNSでちゃんと情報見とけばよかった…

演奏前のMCで和嶋さんが開口一番「これはおもしろい話と捉えてほしいんですけども…」と話し出して鈴木さんから「そんなにハードルを上げて大丈夫なのか」と問われる一幕がありましたが、内容としては「青森で止まったホテルも商店街のアーケードも公園の時計もそれぞれバラバラの時間で止まったままになっていて異次元感があった」というものでした、みんなああいうのをほっといたまんまにしちゃうのが青森らしいよねえ、と、たしかにそうかもわかりません

アンコール1曲めは、鈴木さんが演奏中に手を振り上げて五十肩になったという「猟奇が街にやってくる」、それ以降「絶対演奏中は手を挙げないことにした」と鈴木さんはおっしゃられてましたが、演奏中はひじから上を曲げる感じで手をあげてらっしゃいました、やっぱり手を上げたいには上げたくなる感じでいらっしゃるようです、あとこの曲は鈴木さんが歌わない時間が長いので「歌唱中の和嶋さんの背後に回っていろんな顔を披露する」という二人チューチュートレインを披露なされてました、この言い回しだとちゃんと伝わらないかと思いますが、もしかしたらどなたかがSNSにて図解してくださるかもわかりません、あのときの演奏の図解はぜひ私も拝見したいです

アンコール2曲めは「地獄」、ライブも終盤ですが相変わらずの大盛りあがりです、途中にダレるようなこともなかったのでほんとにすごいことだと思います、この曲の途中で頻繁にブレイクが入る部分の、ギターやベースの手元を見るのが面白くてですね、ギターのミュートはネックの方で几帳面に四本指で弦を押さえていて、ベースの方は右手の小指側の側面をつかって押さえてるんですよね、今日は手元がよく見えたので観察してたんですが、鈴木さんの手がミュートのたびにぷにっとするのが大変かわらしかったです(そして演奏時の指さばきはいつもほんとにすごいです)

今日はダブルアンコールあるかしら、とおもったら、ありました、曲は何かなあとアンコールの手拍子中に友達と考えていましたが「どっとはらい」でした、たしかにそれだわー!ととても納得するラストの曲、もうほんとに今日の選曲は満足感がとても高かったです、これはセトリのネタバレを控える人が多かったのもうなずけます、たしかに今回は何も知らないでライブに行ったほうが楽しいツアーなんじゃないかと思います

そして次のツアーは「アルバム発売ツアー」になるとのこと、来年もまた新曲が拝めますね!これは大変楽しみです、次のツアーは久方ぶりに遠征に行ってみたいもんです


とりあえず思い出せるところをかいつまんで掲載いたしました、これを見て人間椅子のライブに興味を持ってくださったかたがもしいらっしゃいましたらぜひ、ライブ会場に足を運んでいただければと思います、ほんとに楽しいですので!

やー、それにしても、また弘前KEEP THE BEATにいらっしゃってくださいませんかねえ…チケット取れるかわかりませんけども…