こぎん芸人行状記

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青森県弘前市在住のこぎん刺し芸人・砧川キヌ子の情報を掲載しています

なんで青森に移住しようと決めたかのおはなし

※追記:本文では引越し時期を「2019年7月」と記載していますが、実際には2019年4月に前倒ししています

 

お写真はよくおひるごはんを食べにゆく新国立劇場の通路を撮って加工したもの、劇場の中にあるレストランのランチはパンがおいしくて食べ放題です

2019年の7月に、青森県は弘前市に移住して、いろいろ働いたりライブ主催したりして暮らしてみようと決めてから何ヶ月か経つのですが、就活でお会いした方や、会社の方々や友人知人に説明する際に「なんで?」と聞かれることが増えまして、自分もその都度一生懸命説明するのですがいろいろ考えてることがいっぱいありましてなんだか説明するたびに違う話をしているような気がしてまして、ここはひとつ一度きちんとまとめてみようということでここに書き付ける次第です

たぶんまたこの先にいろいろ理由が増えたり減ったりするかもわかりませんが、現時点、2018年3月23日の段階でのこととして書いてみたいと思います

最初に弘前に行ったのは、自分が大好きなバンド「人間椅子」のライブが弘前Mag-Netで開催されるということでそれを観に行った時でした、当時すでにネット上で弘前近辺に住んでいらっしゃる人間椅子ファンの知り合いが出来ていて、観に行ったら実際にお会いしようと話していたりしていたのでした

実際に弘前に行ってみたら、なんだか自分的にはとてもしっくりくる街で、いろいろなところを歩いていると自分の好きなものがどんどん出てきました、弘前公園の静けさに感動したり、空が広くていいなあと思ったり、岩木山をぼんやりながめているのが妙に楽しかったり、レトロモダンな建築がもともと好きだったので街のあちこちにあるのが嬉しかったり、喫茶店も好きだったのでこれまた何軒か回ったり、そして、なんといっても弘前で活動しているバンドさんの演奏がみなさんほんとにカッコ良かったこと、凄まじく感動しました、この演奏が毎月見られたらほんとに天国だろうなと思いました、ネット上でしか話してなかったみなさまも本当に親切にしてくださって楽しくて、帰りの夜行バスを待っている間はあまりの帰りたくなさでガチ泣きしてしまい自分ですごいびっくりしました、これまでひとり旅でいくつかの街には行っていたのですが、あんなに帰りたくない街は初めてでした

東京に帰ってきてからしばらくした後、コントの活動に注力しようと映像製作等の活動を自粛して単独ライブや主催ライブ等をどんどん開催した時期があったのですが、どんどん開催してもお客様の入りはどんどん減っていって、そして、自分もピンのコントを作ることに手応えを得ることができない状態が続き、ああ、自分のネタというのはみなさまにも自分にとってもそこまでニーズのあるものではないのかもしれない、自分の「飯のタネ」としてコントを選べるかと、そのための努力を尽くせるかと言われたら、私の場合はどうにもこりゃ難しい、と、ぼんやりそう思うようになりました

合同コントやインプロライブなど他にもいろいろやっておりましたが、どれも延々と繰り返そうと思えばいくらでもやり続けてゆくことはできる、でも、その先の何十年かを過去と同じ場所で延々と回るだけの暮らしになるかもしれないと、そちらの恐怖の方が勝るのでした、当たり障りのないことを選んで延命させるのも、自分の現実に文句を言うことも、やりたくなかった、文句を言うぐらいならそれらをどうにかするために工夫するだとか実験するだとかして過ごしたい、でもその時の自分にはその先をどうすればいいかがわからなかったのでした

それからまた数回ほど弘前に行く機会があり、3回目に行った時、街を歩きながら、「この街のお役に立ってみたい」と思ったのでした、東京ならば私の代わりはいくらでもいる、お笑いでも仕事でも、いなくなったところでそこまで困られるようなこともない、いまの会社の仕事だって抜けても少し引継ぎでごたごたしたあとは特に問題ないだろうし、お笑いの方だってご覧の通りの状態だし、もともとテレビよりも舞台が好きで17年以上ずっとフリーで居続けて単独ライブやってたぐらいの偏屈だし、だから自分は、『東京に居る必要がないのだ』と、その時に初めて悟ったのでありました

そこからは移住の話を出来るだけ具体的に決めて動いて、でも貯金が全く無かったので資金は貯めることにして、貯まるまでの間を存分に移住の準備に充てようと、そういうことになったのでした

それで、お笑いについては、ここまでいろいろ書いておきながら辞めるつもりは全くなく、今後もこれまで同様に主催ライブやコントの公演を青森でどんどんやろうと思っております、インプロライブや合同コント公演もきっとまだまだ出来るだろうし、それらは売れてる芸人さんほどに「飯のタネ」にはならないかもしれないけれど、なにかを豊かにしてくれるものになってくれるだろうと、これまた相変わらずにど真ん中で信じていようと思います、人間はお金の生まれる前からきっと笑っていたのだと、ならば、草野球があるように「草コント」「草ライブ」とかどんどんやったって構わないはずだから、人生面白おかしく過ごすお手伝いをしてたいなと思います

他にもきっと、たとえばこれまでの活動で散々作ってきたチラシや資料や映像作品だとか、会社で働いてる間にゼロから覚えて今では講師もできるようになったOffice系ソフトだとか、自分が役に立てるものならなんでも使って、それで生活できるようになってみようと思います、どうせ東京で鬼ほど貧乏だったんだし(笑)、弘前でも暮らせないならもーわたくしはどこ行ったって暮らせないでしょうから、願わくば自分の能力が、なんかしらの役に立って、自分だけでなく他の皆さまの豊かさに繋がってくれたなら、それはきっと最高なことなんじゃなかろうかと思うのです

残念ながらまだ一年半も先の話なのでまだ自分が具体的にどのようにお役に立てるかが全然はっきりしてないのですが、現地に行ってからでもどーんと飛び込みまして、まだまだ新しいことをいっぱい学んで、そんで、恥ずかしくないように、がんばってみたいと思います

…これだけ書いてまだ書きそびれてる話もあったりとかするぐらいなので、今後もまたその都度説明しながら違う話をしてそうです、どれも嘘ではございませんので、どうかひとつ御容赦賜りたく、よろしくお願い申し上げ奉ります